TahitiDiving Go Home

Lesson3                  

水深30メートルの世界   

飛び込んですぐは細かい空気の泡で何も見えなかった。自分がどっちを向いているのかもわからなかった。水面にいったん顔を出して、指示されたアンカーロープのほうに向かった。
ロープに捕まりながら、水の中を覗きこんでみた。別世界があった。

初めて目にした海の中の世界は、これまでの価値観が変わってしまいそうなほど感動的だった。足元に広がる珊瑚の丘、間を泳ぐチョウチョウウオやハナダイ達、そして、右手に広がるどこまでもどこまでも透明で深いブルー。ずーっと見ていると、吸い込まれそうだった。水族館でガラス越しに見るのとは違う、自分がその中にいて、一緒に存在しているのだという思いを強く感じる。それでいて、自分が今そこにいることが信じられなかった。神様が与えてくれた別の世界があった。

耳抜きをしながら潜行。なぜか、あっという間に下まで潜ってしまった。ちなみにタヒチではウェイト(重りで、たいていは自分の体重に合わせた重さをつけて浮力を調整する)を使わずにレッスンしていたし、この時も使わなかったので、しばらくはウェイトというものがなんなのか、私にはわからなかった。
しばらく水の底で全員がそろうのを待った。
全員そろうと、インストラクターのKazuさんの指示に従って、泳ぎ始めた。私は、必死でKazuさんの姿を目で追いながら泳いだ。しかし、「インストラクターよりも前に出てはいけません。」と言われていたので、前に出すぎてはいけない。また、「インストラクターより深く潜っては絶対にいけません。」とも言われたので、沈んでもいけない。沈まないようにしようとすると足を動かすので、先に進んでしまう。こつがわかるようになるまで、しばらく焦っていた。

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